学芸員のひよこ

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zoom RSS 小学校の授業を考える。

<<   作成日時 : 2006/04/18 23:08   >>

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今日はちょっと長話。

先日ちょっとした打ち合わせがあって、その際にPRをしておいた地元の小学校から川に関する総合学習の講師依頼が来ました。電話で色々と話をしていたんですが、どうにもこうにも話にならないので、直接お会いして話をすることに。

で、夕方に先生二人が博物館にやって来られました。
内容を聞くに、昨年、別の人を講師に呼んで水生昆虫による川の水質判定をしていたが、近くでこのような専門の人がいるのを知らなかったので、今年はその授業を学芸員さんに御願いしたい、とのこと。で、できればその後もずっと継続して学校にきて色々と授業をしてほしい、機材も資料も博物館にあると思うので、いろいろ提供して欲しい、という話でした。

はあ、そうですか。
と思いながらも、とりあえずのこの総合学習の1学期の授業指導案を教えて下さいと言ったら、

「まだ作ってません」

とのこと。

はあ、そうですか。
これをどうとらえるべきか。

1.博物館と連携した授業提案のチャンス!!
2.先生の授業丸投げ

話を聞いている限り、正直言って、2の方がウエイト大きかったです。
どうも先生自体にやる気が見えてこない。本当に子供達のニーズに応えているのか?本当に子供達に総合学習として川を知って欲しいのか?
そこがものすごく疑問になりました。

そもそも、水生昆虫を使っての川の水質判定というものには、同時期にたくさんの地点を調べたり、同地点を季節によって調べることで、成果が見えてくる手法の一つだと僕は思っています(パックテストも同じ)。それをたった1回の授業でしかも1地点でやってどうなるのか?何かの本を読まれたのだろうと思いますが、あまりにも教科書の内容を鵜呑みにした話でした。

この小学校の前には、町中を流れるゆるやかな川があります。ところどころによっては、3面コンクリートもありますが、全体的に生き物も多く、緩やかな田舎の川って感じで、人との関わりも深い川です。今年の夏には、僕が担当となってこの川をテーマにした企画展も行なう予定で、そういった意味でも、この小学校の教務担当の先生にこの川に注目した総合学習をやってみませんか?というお誘いをしたばかりでの今回の話でした(ちゃんと学習指導計画案も作った)。

この川に生息している生物から水質を判定すると、汚い川の分類になります。と、いうことはたった1回の授業で、この川は汚い川というレッテルが貼られるだけになってしまいます。僕自身はそういう一つの視点ではなくて、子供達に色々な視点(生き物、河川環境、水質、ゴミ、人との関わり方)などをそれぞれ探求して、それを総合的に見て、川の価値付けを行なっていきたいと考えています。それぞれの視点でみれば、川の評価ってのは変わってくるものだと思いますし、それをまとめることで、色々なモノ見方が学べると思っています。

色々と話はこちらから持ちかけましたが、どうも小4では早すぎる、という話でいつも切れてしまい、どうも話はうまくいきませんでした。同じような内容を小3でやって好評だったこともあるんですが・・・。

結局、色々と話をすすめて行く中で、とりあえず最初の授業で2時間ほど話をしてくださいということになりました。最初は「水生昆虫からみた川の水質」という話で、ということだったのですが、それは蹴って、色々な視点を持って川を見てみようという話をするつもりです。そして、授業のはじめには、子供達が川で何を調べたいか、どこまで川というものを知っているか、アンケートをとって、それを生かしていくつもりです。

ある程度主導権がこちらにもあるように見えますが、あくまでこれは小学校での総合学習の授業。僕は学芸員として、先生がやりたいと思っている授業計画案の中で最低限のお手伝いをより良いものにするために行く訳です。もし先生が本当にこの授業を丸投げするようなかたちでこれから望んでくるようであれば、僕自身も色々と行動に出ようと思っています。

とにかく、生徒には地元の川を知り、その価値を知り、誇りに思えるようになって欲しいと思っています。そういった意味でも、教科書だけの話ではなく、地元の方々とも協力した地域密着の授業をしてもらえるように頑張って生きたいと思っています。


また皆さんから、色々と意見をお聞かせください。特に小学校の先生をされている方がいらっしゃったら、考え方など教えてもらえると助かります。

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コメント(8件)

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教育学部経験者からの発言です。簡易水質検査ないし生物水質検定は、「環境問題」という枠組みが理解できるような学年にならないと意味がありませんから、4年生ではどうかな?総合学習で1年間じっくり取り組むならできるかもしれませんが、1度や2度では無理でしょうね。下手をすると、「汚い水に住む生き物は汚い」で終わってしまうかもしれません。
最初は、生物そのものと、そのハビタットを野外でじっくり見せるべきでしょう。4年生なら、昆虫の同定などもかなりの精度でこなしますから、興味のわいた生き物を1種選んで、それがどんな場所にいるか徹底的に探させるのもよいかもしれません。一度、4年生の子に簡単な実体顕微鏡を使って水生昆虫の絵を描かせたら、種の同定が可能なほど特徴を的確に捉えた絵を描いたのでびっくりしたことがあります。
m-urabe
2006/04/24 00:42
それにしても「丸投げ」は困りますね。総合学習は、教員の方も何をやったらいいかわからないという部分は確かにあるのですが(教育大学でも、教科としての「総合学習」を教える講義と言うのはまだ不十分です。「生活科」ですら不十分かな)、もう導入されてから数年経ちますし、他校のケースで参考に出来るものもたくさんあるはずです。まず、先生を教育しなければいけませんね。
m-urabe
2006/04/24 00:43
長話のついでにもう一つ。福岡の海ノ中道マリンワールドは、全国でも屈指の教育プログラムを常備した水族館ですが、学校で水族館を利用するときの申込用紙に、どういう授業の一環なのか、事前学習や事後学習はどうするのか、などを事細かに書く欄があります。そういう書類をちゃんと学校側に作って、博物館業績として保管しておくのも一つの手でしょう。
m-urabe
2006/04/24 00:53
>m-urabeさん。

貴重なご意見ありがとうございました。
昨日、授業の打ち合わせに出向いてきたんですが、我がS県がかつてこの学習プログラムを県内全域に提供していた名残から、先生も川と言えばこのようなプログラムしかご存知ない、と言うのも現状でした。さらに、子供達は観察能力や同定能力がないという先入観が先生の中にあることから先生側が全てを教えなければ、という事を思っておられるようです。
実は同時期に理科で、昆虫のからだのつくりという単元があるのですが、そういう所とも合わせて観察の視点なんかを指導すればいいのになぁと感じています。

僕自身もできるだけ関わりたいとは思っていますし、総合的な学習の時間なんですから、教科書やプログラムにとらわれず、地域の財産としての川を学習するためにもっと先生にも自主的に動いてもらえればと思っています。実は教員向けのプログラムなども公民館と提携してやってはいるんですが、残念ながらまだ実現とかまではいってないみたいです。
シゲ。
2006/04/28 06:17
それにしても、海の中道マリンワールドは色々とやっておられるんですね。僕も個人的に他館がどのような学校の受け入れ、学校との協力をしているのか色々と調べているのですが、また海の中道も調べてみたいと思います。やはりこちらとしては、依頼文と●●小学校へ行ったという記録しかこちらに残るものはないので、学習内容を記録したり、あわよくばこちらの事業としても位置づけてもよいのかもしれませんね。
個人的には、今回町内2つで行なっている授業に関しては何らかの形でまとめて、環境教育学会の実践報告にでも投稿したいなぁと思っています。
シゲ。
2006/04/28 06:26
授業協力の資料,できればフォーマットを作って博物館で保管しておくといいと思いますよ。次の依頼があった時,「今まではこういうことをしました」と一目で紹介できるようにしておくと,学校側も頼みやすいし,「博物館に頼む前に学校サイドはどういう準備が必要か」ということも具体的にイメージできます。で,そういう依頼が増えれば博物館の活用頻度が増えるわけですから,一種の「営業戦略」でもありますね。
m-urabe
2006/04/28 12:53
専門的とか事務的とかでなく、それは、どれだけ自然環境を愛しているかだと思う。その本質の部分を刺激されると、子どもというのは一生懸命に感じてくれるもの。今の教育にかけているのは、その教える側の熱い思いではないでしょうか。だからシゲさんの様な立場の人に委託する方針は間違っていないし、うまく継続化すれば学校教育というものに一石投じることもつながっていくはず。要はそれを取りまとめるところが学校にあるために煮え切らないものになるかと思います。千里の道も一歩から。結果は先生ではなく子どもたちが出してくれると思いますよ。







そういう、わたしも総合学習の一環として子どもの本を紹介する機会に恵ま
その結果、外部の専門分野で志のある人に委託するという方針は間違っていないと思います。しかし、その任せ方があまりにも中途半端なことで、シゲさんの煮えたりない思いがあのコメントにはあると感じました。先生としては、学校側のいろんな規則があるのでしたくてもできないし、前例がなくてわからないので、とりあえず無難なようにという声も聞こえてきそうです。
ちきちとちわわ
2006/05/02 17:08
>m-urabeさん。
こちらも単に事務的には依頼文だけの処理だけですし、内容はずーっと僕の頭の中だけで保存してたので、またこういう学習内容にも突っ込んだ資料を作ってみたいと思います。そうそう、海ノ中道マリンワールドは、館長さんが非常に面白い方ですね。最近本も出版されましたし、ブログでもいろいろと勉強させてもらってます。と、今日のブログみてたら、m-urabeさんの前任大学で非常勤講師をされてたんですね。

>ちきちとちわわさん。
ご意見ありがとうございました。まさに、教える側の熱意というものの問題に直面しているのだと思います。逆に今まで熱意のある先生達と多く対面して一緒に授業を作ってきた事が多かったので、今回のようなケースに直面して、不完全燃焼を起こしているのかなぁという感じもします。5月1日のブログにもあるとおり、この前授業にいって、子供達には色々と通じるものがあったので、それを生かして、ボトムアップで先生の意識改革をしていければなぁと思っています。
シゲ。
2006/05/12 23:32

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